【フランスの天然防虫剤】あわせ技で脱ムシューダなるか? 〜オーガニック精油の無骨な自作サシェやマルセイユ石鹸など〜

クローゼット内のあれこれ生活雑貨

フランスの衣類の強敵ミット

フランスには衣類の宿敵ともいえる厄介な虫、ミット(Mite des vêtements)がいます。
成虫は体長1センチに満たないほっそりした薄茶色の蛾で、それほどキモくはないのですが…幼虫がグルメでウールやカシミヤなどの高級天然素材を食むので厄介です。

在仏でこヤツらとの闘いに辟易している方は多いと思います。

あえてのロングショット

これまでのミット対策

ただ手をこまねいていたわけではありません。
そこそこ対策していたこともあり、クローゼット内ではまだ一匹も発見されておらず、服に穴が開いたこともない。
これまでのミット対策はこんな感じです。

肝心のムシューダが写ってない
(期限切れで処分してもうた)

防虫スプレー、防虫シート、レッドシダー

BHVの防虫剤コーナー(地下)やフランスのアマゾン、薬局などで買い求めてみたもの。

防虫スプレーはいかにも効きそうですが、香りが強力すぎてこっちまでおかしくなりそう(汗)
防虫効果のあるシート…は無香でペラペラ、ぶっちゃけ効果のほどは分かりません。
防虫・消臭効果がある天然木レッドシダーのハンギングブロックは、仕切りを兼ねてお守りみたいな感じで吊り下げています。

サシェ、石鹸

マルセイユ石鹸は防虫効果もあるらしいので、クローゼットにストックを保管しています。
(写真右上の穴にヒモを通してあるもの)
効果あるかは知らないけど、ピオニー(芍薬、シャクヤク)のサシェとレモンの石鹸(ストック)も。

日本の防虫剤(ムシューダ、百均)

日本から持ってきた&持ってきていただいた防虫剤。
とくにムシューダには絶大な信頼を寄せているので、これまでミットがフラフラ廊下を飛んでいても、

「ムシューダが結界を張ってるからクローゼット内は聖域」
「絨毯でも食べてるんでしょ?」(ヨクナイ)
などと余裕をかましていられたのですね。

迫られる防虫対策の見直し

が、恐ろしいことに
ムシューダのおとりかえサイン「おわり」が、非情にもクッキリと浮かび上がってきたのです…!

このままでは結界が崩れて、ミットが攻め込んで来るのも時間の問題?
対策を強化しなくては、と焦り始めました。

しかし、、

フランスのケミカル防虫剤に抵抗あり

フランスの防虫スプレーはとにかく強烈でムシには有効かもですが、こっちにも効いてきそうで心配になる感じ(汗)
「衣類にバンバン吹きかけよう♪」とはならないのです。

同ブランド(Kapo)でムシューダっぽいラインナップもありますが、どうにも触手が伸びない。

そこで
「そんなんでほんとに効くの?」と疑心暗鬼であまり興味のなかった天然防虫対策にも目を向けてみました。

ミットに効くオーガニック精油

フランスには自然素材を用いた伝統的な防虫対策があります。
虫が嫌がる木とかハーブ、スパイスで何とかなると。

オーガニック・ナチュラル製品のオンラインショップCompagnie des Sensによれば、ミット対策には以下のエッセンシャルオイル(精油)が有効で、ブレンドすると相乗効果があるとか。

  • la lavande vraie(真正ラベンダー)
  • le romarin à camphre(ローズマリー・カンファー)
  • le cèdre de l’atlas(アトラスシダー)

コットンにブレンドオイル2滴を染み込ませてクローゼットにいくつか忍ばせ、3〜6週間ごとにコットンを交換するといいよ〜。
けど妊娠中・授乳中の女性、6歳未満の子供は使わないでね!とのこと。

実際に香りをかいでみたかったので、パリに店舗がある信頼のオーガニック製品ブランド・フローラム(Florame)へ。
高品質な精油がそれぞれ持つ防虫以外の素敵効果にも興味が湧いたので、3つともゲットしてきました。

真正ラベンダー(la lavande vraie)

ラベンダーはひとつじゃないんです。

BIOショップの精油コーナーでシンプルに「ラベンダー」みたいなのがないことに気づき(Lavande何々とかLavandinとか)、どれを買うべきか分からなくて出直した経緯があるのでエラそうなことは言えませんが、、
精油の沼に分け入らんとするなら、

  • 真正ラベンダー
  • スパイクラベンダー
  • ラバンジン

の3つのラベンダーの区別は付いているといいでしょう。
同じラベンダーの仲間でも、成分が違えば得られる効果も違うからです。

真正ラベンダー

標高の高い山に生える真正ラベンダー(仏:Lavande Vraie, 英:True Lavender, 学名:Lavandula angustifolia / Lavandula offinalis ※は、ほかとは一線を画する「本物の」ラベンダーで最高級の精油が採れます。
リラックスできる、あまく柔らかい香り。

ミット対策に有効なのはこの真正ラベンダーです。
ラベンダー・ファイン(仏:Lavande Fine, 英:Fine Lavender, 学名:同じ)は真正ラベンダーの栽培種(野生種じゃないってこと)なので、こちらを買いました。

主成分は酢酸リナリルとリナロールで、心身の癒やし効果や炎症・痛みの鎮静作用あり。
安眠効果もあるので寝る前に枕の端に1〜2滴垂らしています。

※精油の学名(ラテン語)は地味にだいじ!
植物の呼び名は国や地域によって違いすぎるので、どの植物から抽出された精油か?を正確に示すものであり、品質保証的な面もあります(学名の記載がない精油は信頼に値しない)。

スパイクラベンダー

標高の低い海辺に生えるスパイクラベンダー(仏:Lavande Aspic, 英:Spike Lavender, 学名:Lavandula latifolia / Lavandula spicaは、真正ラベンダーとは性格がぜんぜん違います。

主成分はリナロールとシネオール、カンファーで、免疫向上や抗菌・抗ウイルス作用があり、皮膚疾患には真正ラベンダーより効きますが、癒やし効果はなし。笑
リフレッシュできる、シャープですっきりした香り。

ラバンジン

ラバンジン(仏・英:Lavandin, 学名:Labandula intermedia / Lavandula hybridaは、真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種。
タフで精油もたくさん採れるので、大量に栽培されています。

主成分はリナロールと酢酸リナリルでカンファーとシネオールも含み、筋肉痛やリウマチなどの鎮痛作用があり、呼吸器系の症状や皮膚疾患にも効くようです。
リフレッシュできる、すっきりした薬草っぽい香り。

同じ長さの挿し木をずら〜りと植えるクローン栽培なので、見た目が整っているラベンダー畑はほとんどがこのラバンジンだとか。

ローズマリー・カンファー(le romarin à camphre)

ローズマリーにはカンファーが含まれていますが、カンファー多めなのがローズマリー・カンファー(仏:Romarin Camphré, 英:Camphor Rosemary, 学名:Rosmarinus officinalis CT camphre
リフレッシュできる、ウッディでスパイシーな香り。

刺激的で神経や筋肉に強く働きかけるので、妊婦さんや子供はとくに使わないほうがいいようです。
交感神経が活発化して集中力・記憶力が高まるので勉強などに◎

アトラスシダー(le cèdre de l’atlas)

アトラスシダー(仏:Cèdre de l’Atlas, 英:Atlas Cedar, 学名:Cedrus atlanticaは、ホワイトシダー、シダーウッドともいわれます(マツ科ヒマラヤスギ属)
ハンギングブロックのレッドシダー(ヒノキ科ビャクシン属)とは違うので、「シダー」とひとくくりにはできません。
リラックスできる、森林浴的なあまい香り。

緊張や不安、ストレスを和らげてくれる鎮静作用がありつつ集中力も高めてくれるので、ヨガや瞑想と相性がいい。
古代エジプトでミイラの防腐剤に使われたり、古今東西の宗教儀式で用いられたりと神秘的な香り。

大木が過酷な自然から身を守るために生み出した優れた防虫・防腐作用があり、フローラムでミット対策として真っ先におすすめされた香り。

合成香料じゃダメ

ちなみに。
精油はちゃんとしたやつ(100%ピュアはもちろんできればオーガニックで、学名が明記されている)じゃないとダメです。

香りというより成分に効果があるので、安い精油もどき(合成香料)ではなんの効果も得られないのですね…。

強化後の天然防虫対策

精油について長々と語ってきましたが、強化後の天然防虫対策はこんな感じです。

オーガニック精油 de 超無骨な自作サシェ

精油を仕入れたところで、防ミット剤的な感じでサシェを作ろうと思いました。

サシェといえばあれですね。
小さな布をちくちく縫ってリボンをキュッと結んだ可愛らしい巾着タイプを想起しますが、正直作るの面倒だし、どこに売ってるかも?だし、色付きの精油が染み出して色移りしたりしないか?心配、、などと悶々としていたら、ハタとひらめきました。

…これでいいんじゃね?

・・・サシェ??

フランスでメジャーな丸いコットンに各精油を2滴ずつ落とし、ミニジップにinするもの。

ジッパーを開けたままにすれば、香りが少しずつ広がってゆきます。
布製サシェと比べたら香りは広がりにくいでしょうが、その分長持ちするかも?
精油が乾いてなくて染み出す心配もありません。

女子力低めな簡素きわまりないサシェ()ですが、機能して清潔に保てればいいのでOK★

コットンを薄く裂いて丸めると
ベターですね
(ジッパーが開きやすくなる)

レッドシダー(ブロックキューブ、ハンギングブロック)

じつはフローラムのマダムに
「サシェなんて作らなくても、レッドシダーに精油を染み込ませればいいよ」と教えていただいたのですが、新しいレッドシダーキューブがあまりにいい匂いだったので、そのまま使うことにしました。

クローゼットの引き出しのほか、旅行用リュックや帽子の下とかにも入れています。

マルセイユ石鹸

これは引き続きクローゼットに保管。
100%ナチュラルなマルセイユ石鹸は保存料なしでも長期間劣化しない(使用期限なし)らしく、何十年も保存して使えるみたいです。すごすぎ。

クローゼットがいい匂いすぎる

さて上記の自作サシェ()やシダーキューブを追加しまくった翌朝のクローゼットは、いい匂いすぎました。

クローゼットの前を通りがかるだけでも香りを感じるし、扉をオープンして鼻を近づけると、なんともいえない神秘的な森林浴の香りに包まれます。
まさに聖域…ッ!

濃いアロマなので苦手な方もいるかもですが、好きな方にはたまらないと思います。

月イチでメンテナンス

メンテナンスはそれなりに必要です。
この点がデメリットといえばそうかな?

Compagnie des Sensさんによれば3〜6週間ごとにコットンを交換して…とあるので、月イチで精油補充(コットン交換)しようと思います。
毎月月初の予定に組み込もうかと。

レッドシダーは紙やすりで削ると香りが復活するのでコスパがいいです。
紙やすりがなかったので、とりあえずコレで代用しました(汗)

軽石
(下ろしたて!)

検証はまだ先

肝心の効果について。
いまのところクローゼット内にアレの気配は皆無でうまくいきそうな予感しかないですが、数ヶ月〜1年くらい経ってみないと結果は分かりません。

ムシューダなしで過ごすのは軽く15年ぶりくらいなのでドキドキの日々です。
何事もなければ、この天然防虫剤のあわせ技でやっていきたいと思います!

アロマテラピーの本(アマゾンで高評価)

真正ラベンダー精油

ラバンジン精油

ローズマリー・カンファー精油

アトラスシダー、ホワイトシダー、シダーウッド精油

レッドシダーブロック

マルセイユ石鹸