ロックダウン下のパリで一週間以上生活してみての雑感

徒然文新型コロナ, コンフィヌマン(ロックダウン)

平和だった頃のパリ

先週17日にロックダウン生活に突入してから、一週間以上が経ちました。

日本も首都封鎖の可能性が示唆されて他人事ではないとのことで、実際どんな感じなのか、いまフランスの置かれている状況と、身近な観測範囲で思うことなど述べたいと思います。

フランスの現状(2020年3月25日)

まず、新型コロナウイルス感染症に関するフランスの現状です。

感染者25,600名(世界で7番目に多い)
死者1,331名(世界で5番目に多い)
※米ジョンズ・ホプキンス大学CSSE集計結果より(3月25日夜時点)

感染封じ込めのため、3月17日正午からロックダウン(都市封鎖・外出制限)されています。
通勤(リモートワーク不可の仕事のみ)、生活必需品の買い出しなど政府が認める理由以外の外出は認められず、違反すると罰則を科されます。

政府が認める外出理由は、特例外出証明書(Attestation de déplacement dérogatoire)7つ記載されていますので、そのどれに該当するかチェックを入れて、氏名、生年月日、住所、日付、出発時間(←New!)など記入して携行する義務があります。
違反すると罰則を科されます。

罰則強化

大半のフランス人は大人しく政府の指示に従っているようですが、不必要に出歩いたり、証明書を忘れたりする人もそれなりにいるみたいで、ここ一週間で9万人以上が罰金となった結果、罰則が強化されました。

罰金は初犯135ユーロ(約1万6千円)。
→45日以内に支払わないと375ユーロ(約4万5千円)にUPします。
→15日以内の再犯は1,500ユーロ(約18万円)と跳ね上がります。
→30日以内に4回で最大3,750ユーロ(約45万円)&6ヶ月の禁錮刑(!)に処される見込みです。

ウサギを散歩させたカップルが罰金135ユーロ(犬はOKでも、うさちゃんはダメだとか)、チョコレートを買いに国境を越えてベルギーに乗り込んだ男性が罰金4,116ユーロ(約50万円。ベルギーはフランスほど寛容じゃなかった模様)など、笑うに笑えない事例がいくつも報告されています。。

ニセ警官が出没し、罰金相当額をかっさらっていくケースもあるようなので注意が必要です。

証明書アップデート

当初の証明書フォーマットがアップデートされ、認められる外出理由が5つ→7つになり、より細かく定義されました。

ウサギの件は、依然としてペット(des animaux de compagnie)の散歩は可みたいに書かれており、何ならOKなのか分かりにくいので気の毒ではあります。
フランス人は犬猫はもちろん無類のウサギ好き・動物好きなので、何を飼っているか分かりません。
ウサギ科は除くよ、みたいなより詳細なアップデートが待たれます。

ジョギングなど単独での運動は、1日1時間以内&自宅から1km圏内でという条件が加わりました。
連れ立って散歩するのも、同居人でないとダメとのこと。

ロックダウン生活を一週間以上経験してみての雑感

実際に一週間以上、ロックダウン生活を経験してみて、思ったことなど書き連ねたいと思います。

漠然とした不安から解放されて安心感がある

これは少々意外な変化でしたが、漠然とした不安から解き放たれて妙な安心感があります。

感染者100名ほどでじわりと増え始めた2月下旬頃から、大勢人が集まる場所に行くたびに「これ、大丈夫かな…」とモヤモヤした不安や恐れを抱いていたんですよね。

マスクをしている人はめったに見かけず、積極的にコロナを話題にする人も少なく、大型イベントもそこそこ開催されていたので(要するに世間は楽観ムードで平常運転だったので)、わたしも普通に出歩いてしまっていました。

現状は食料品の買い出しくらいで、モヤモヤしつつ街に出るという選択肢が一切なくなってありがたいくらいです。

スーパーの安定感も大きい

一時の買い占め騒動が落ち着き、一部を除いてスーパーの品不足が解消しつつあるのも大きいです。

ロックダウン前は、いつ騒動が起きて食料確保できなくなるか…と内心恐れていましたから。

当初こそ小パニックが起きてスーパーは長蛇の列でしたが、いまやそのような光景は見かけなくなりました。
物流はしっかり機能しているようで、頼りになります。

安定のトイレットペーパー、ラスク(乾パンみたいなやつ)の棚はすっからかん、みたいな日もありましたが、2〜3軒回ればあったし、生活必需品の確保については目下問題なさそうなのも、安心感に結びついています。

いまのところ差別には遭っていない(と思う)

世界各地でアジア人が差別を受ける被害報告が相次いでいますが、さいわいまだそのような目には遭っていない…と思います。

というのも、いまは誰であろうと1メートル以上近づいてはいけないルールなので、道を歩いていて避けられたとしても、ルールを守られたのか、アジア人だからなのか分からないからですw
(たぶん前者)

どんな目で見られているのか気にして、疑心暗鬼になってしまうというのはありますが、とりあえず周囲のフランス人は、(少なくとも表面上は)別け隔てなく優しく接してくれます。

ウーバーイーツや宅配業者がほぼ黒人なのが気になる

通りで見かけるウーバーイーツや、荷物を届けてくれる宅配業者が黒人ばかりなのが気になります。

平時もわりとそうでしたが、人通りの少ない中で彼らの姿は目立ちます。

こんなときに感染リスクを負いながら家々を訪ねる仕事を担い、社会のシステムを支える彼らは、移民とその子孫なんだろうな、、と特定の職種が、特定の人種に偏っている現実が浮き彫りになって切なくなります。

せめてこれほど気持ちよく晴れの日が続く中、ありえないほど閑散としたパリを堂々と駆け回れて、気分よく仕事してくれているといいのですが…。
荷物を届けてくれて感謝です。

春の陽気がハードルを上げてくる

ロックダウンのちょっと前あたりから、まぁ〜ポカポカ春の陽気が続いているときたもんです。

朝シャッター(カーテンではナイ)を開けると、空が真っ青なのがもやっとします。
何ヶ月も雨や曇りばかりで重苦しい季節を耐え抜いたのに、春の訪れとともにロックダウンかYO!と誰もが思っていることでしょう。

不用意に罰金を食らった人も、この陽気に誘われて勢いで飛び出してしまったのでしょう。

社交的な人にとっては監禁同然?心の病が心配

わたしのようなインドア派にとって、家にいることは何ら苦痛ではないどころか、「普段と変わらなくね…?」という感じですらあるのですが、社交的で活動的な人にとっては、すごくつらいことみたいです。

同居人もこのタイプで、たまに思い詰めた様子で家の中をウロウロしている姿を見ると、かわいそうだな、、と思います。(汗)

とくにフランス人は、対面での濃厚なコミュニケーションを好みますから(会えば挨拶の握手やビズ、立ち話・パーティー大好き)、誰とも挨拶するな!会うな・集まるな!家に閉じこもってろ!というのは、いくらネットなどの通信手段が発達した現代といえども、かなりキツいと思われます。

対面で会えなくなると、どうしても少しずつ心の距離が開いていってしまったりしますしね。

ウイルスはもとより、ウツなど心の病気のほうも心配です。
当初アナウンスされた15日間では済みそうにない(延長ほぼ確実)なので、この辺の心理的な戦いは序章にすぎず、これからが本番といえるでしょう。

同居人とは関係が深まるか、悪化するか

同居人とは一日中一緒にいることになるわけで、ときに距離が近づきすぎて衝突することも出てきます。

実際、ここ数日で何回か大きな声を出してしまい、反省しています。(汗)
さいわい相手は一緒にいると癒やされるマイナスイオン的存在で、関係は良好なので大きな問題に発展するようなことはなさそうですが…。

「普段から一定の距離や時間を保つことで、何とか関係を維持しているカップル」とかだと、危ういかもしれません。。

一方、これでもし一人ぼっちだったら、まして海外だったら相当心細いだろうな、、と想像に難くないです。
わたしも長いこと狭い部屋で一人暮らししていましたが、相当な不安と孤独感に苛まれていたでしょう。

運動不足になりがち

外出していれば、気づけば数千〜数万歩歩いていたりするわけですが、一日中家にいるとなると、意識的に何かやらないと、どうしたって運動不足になりがちです。

いつか平和が戻ったとき、体重が激増していることのないよう、各自コントロールする必要がありそうです。。

せっかくなら有意義な活動に費やしたい

生活リズムも崩れがちで、自分を律することの難しさを痛感します。
気を抜くとネットの海で溺れたまま、日が暮れてしまいます。

もうどうせネットするなら、有意義な活動に費やしたいものです。

語学学校やヨガ教室、バレエ教室などに通うのはしばらく無理でしょうから、勉強や運動は自宅で頑張るほかありませんが、よほど意志の力が強いか継続の仕組みを作れないと、3日ともたずに挫折してしまうでしょう。

短期間で一定の成果を出したいなら、リアルな学校や教室よりかは費用が安く済むパターンが多いオンラインサービスを活用するのがよさそうです。

オンラインレッスン(英語)

スタディサプリEnglishがなかなかよさそう。

フランス語の習得も大事なんですが、意外と英語も使います。
どうしても英語のほうがなじみ深いので、フランス語に詰まったら英語に切り替えて乗り切る(?)ことも多々。

これを機に英語の勉強を再開したいと思います。

スタディサプリENGLISH(新日常英会話コース)

オンラインダイエット

オンラインフィットネス受け放題のLEAN BODYがよさそう。
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最前線で戦う人々に敬意を払って引きこもる

毎晩、20時になると外で盛大な拍手が沸き起こります。
医療従事者の終業時刻だからで、彼らへの感謝の気持ちを表現しているんですね。

我が家も窓を開けて、参加するようにしています。

欧米では一時期、自粛を無視してコロナパーティーやコロナチャレンジに興じる若者が問題になりましたが、彼らに問いたかったのは、

「自分は関係ないと思ってる?」(若くても重症化し得る)
「身近に愛するお年寄りはいない? 」(無症候性キャリアも拡散する。自分がすでに感染している前提で動くべき)
「病院をパンクさせる恐れを想像すらしたことない?」(コロナかどうかにかかわらず、平時なら普通に助かる人も助からなくなる)

ということです。

日本では政府対応が迷走する中、
桜も咲いて3連休は大勢の人が出歩いていたようですが、若者ばかりでなく、年金生活者のようなご高齢の方はとくに、主に誰を守るための自粛やロックダウンなのか自覚していただき、可能な限り外出を控えて自宅にとどまるべきでは、、と思います。

出歩く若者が槍玉に挙げられがちみたいですが、逆だと思います。
彼らの意識に任せるのも、彼らの仕事の一部を不要不急などと非難するのも間違っています。
保証とセットでない自粛「要請」なら、現役世代が外で経済を回す活動を続けるのは責められないと思うからです。
(フランス政府が早々と打ち出した経済支援策は多岐に渡るので割愛しますが、ざっくり8掛けで給与補償、医療従事者やスーパーの労働者などには特別ボーナスを出すと言っています)

フランスはいま、急増する感染による犠牲を食い止めるため、ロックダウンをより厳格化しています。

医療従事者をはじめ取り締まりにあたる警官、スーパーや薬局の店員、宅配業者など、感染リスクにさらされながら最前線で戦っている人々に敬意を払い、それ以外の者は引きこもる義務を果たすときです。