フラゴナール香水博物館の無料ガイドツアーで香水を学び直す

美術館・博物館・テーマパーク9区, フレグランス

オペラ座付近の喧騒が嘘みたいに静かな通り(Square de l’Opera Louis Jouvert)に、フランスの老舗香水ブランドFragonard(フラゴナール)の香水博物館がある。

ふらっと訪れてみたら、5分ほど前に無料ガイドツアー(英語)が出発したばかりということで、追いついて混ぜてもらうことになった。

入り口からは想像できない奥行き

充実の無料ガイドツアー内容

30〜45分ほどのガイドツアーは、香水の製造技術やブランドの歴史、貴重な調度品などの解説に加えて、エッセンシャルオイルの香りを当てるゲーム、パルファンのテイスティングなど実践的なアクティビティもあって充実の内容。

これで無料なのは申し訳ないくらいだけど、ツアー後に案内されるブティックで何かしら買いたくなるので大丈夫でしょう。
爆買いするアジア系団体客も頼もしい。
(少々騒がしいけど…)

ノーラベルのボトルに入っているエッセンスが何だか当てるゲーム。意外と難しい
パルファンのテイスティング。一番人気はEtoile?
腕など自分の肌の匂いを嗅ぐと嗅覚をリセットできるとか

香水の4分類と最上級のパルファン

日本では「香水」と一言で片付けられがちですが、パルファン、オードパルファン、オードトワレ、オーデコロンの4分類の内、どれに当たるのか意識していたいです。

【濃度による香水4分類】

  1. パルファン / Parfum(P)
    賦香率(濃度):約20〜30%
  2. オードパルファン / Eau de Parfum(EDP)
    賦香率(濃度):約15〜20%
  3. オードトワレ / Eau de Toilette(EDT)
    賦香率(濃度):約5〜15%
  4. オーデコロン / Eau de Cologne(EDC)
    賦香率(濃度):約1〜5%
    (なぜコロンだけオーデ??フラ語的にはオードゥコローニュ)

濃度、つまりアルコールに溶かした香料の割合である賦香率(ふこうりつ)で分かれているわけですが、あくまで一般的な目安で明確な基準があるわけではなく、メーカーによってかなり差があるようです。

それにしても、これまでジョー マローンだのディプティックだのそれなりにこだわっていたつもりが、自分の香水がオードトワレだかオーデコロンだか分からなかったという…。
意識が低すぎたようです。

パルファンは濃度が高いだけじゃない

パルファンは単にもっとも濃度が高いだけでなく、メゾン(ブランド)の威信をかけて最上級の香料がリッチに調合されているといいます。

フラゴナールはパルファンのみ、独自開発の黄金アルミボトルで固めているのも納得。
同じラインであってもパルファンと、オード(Eau de)ほにゃらら以下の間には、濃度だけでは片付けられない深くふか〜い溝が横たわっていたのです。

フラゴナールのパルファンはワンランク上の香りが24時間も持続するのに対し、オーデコロンになるとせいぜい1〜2時間しかもちません。
同じシリーズでも、香り方が全然ちがうのです。

オーデコロンが適するシーンもある

一方でごく軽やかにまといたい場合や、会社とプライベートで香りをチェンジしたい、みたいな場合はオーデコロンが適しています。

「ジョー マローンの香水は高いのにすぐ香りが飛ぶ!!」などと文句を言うのはお門違いなのです。
だってコロンだから…。
(賦香率は10%くらいで、一般的なオードトワレくらいあるらしいですが)

ちなみにコロンの由来は、ドイツの都市ケルンで作られた薄めの香水から来ており、ケルンのフランス語読み(コローニュ)が英語に転じたもののようです。

ピンポイントで素肌に付ける

シュッと頭上に一吹きして霧が落ちてきたところをくぐる、みたいな付け方しかしてこなかったけれど、とくにコロンなど爆速で香りが逃げていき、一時間後には跡形もなくなっていました。

香水自体の実力もさることながら、その力を十分発揮させるには付け方も適当ではいけません。

洋服や肌に直接プッシュするのを何となく避けていましたが、香水は本来素肌に直接付けるものだといいます。
濃度が高くなるほど、くるぶし、膝裏、ウエスト、手首などに面ではなく点(ピンポイント)で付けるのが効果的。

耳の後ろやうなじは鼻に近いので嗅覚が麻痺したり、直射日光が当たって香りが変質したり、シミの原因になったりするのでよくないようです。
香りは下から上に立ち上ってくるため、ウエスト以下に付けるとふんわり上品に香るとか。

上記を実践してからは、香水が肌に寄り添うようになじみ、香りが逃げにくくなったように感じます。

髪に直接吹きかけるのはNG

個人的にやっていた間違いとして、髪に直接吹きかけていたというのがありました。

香水に含まれるアルコールは髪によくないのと、肌に付けるのと比べて香りがなじみにくいという。
髪の毛は雑多な匂いを吸着しやすいので、サンマの煙と香水が混じり合って意図しない匂いが完成…というのは身に覚えがあります。

髪に付けたい場合は、専用のヘアミストを使うか、ヘアブラシに吹きかけてとかすのがいいようです。
(いずれにせよアルコールは付着するけど、ベタッと一箇所に付くのは防げる)

おすすめのツアー

フラゴナール香水博物館の無料ガイドツアーは予約不要で、20分毎に英語(とフランス語)で開催されています。
英語が多少分からなくても、目の前にある展示物やガイドさんのジェスチャーなどで分かることも多いでしょうから、挑戦してみる価値はあります。

どうしても不安な場合は、日本語ガイド同伴でベルサイユ宮殿見学とセットになったツアーや、モネの名画「睡蓮」ゆかりのジヴェルニー探訪とセットになった夏季限定ツアーなどがおすすめです。
土曜の午後なら、オリジナル香水作り体験後に、日本語で博物館をガイドしてもらえるツアーもあります。

フラゴナール香水博物館情報:営業時間、定休日、住所など

【フラゴナール香水博物館(Le Musée du Parfum Fragonard)情報】

営業時間:月曜日〜土曜日9:00~18:00(最終入館は17:00まで)
定休日:日曜日、祝日
住所:3-5 square Louis Jouvet, 75009 Paris
公式HP(英語):https://musee-parfum-paris.fragonard.com/en/

※訪問当時の情報です。最新情報は公式HPなどでご確認ください。