可愛過ぎるミニジレジョーヌ軍団とデモに紛れる許しがたいブラック・ブロック
暴徒と混同されるジレジョーヌ
日本で報道されることは少なくなったが、度々暴動と化して問題になっているフランスの黄色いベスト(ジレジョーヌ)運動は、いまも続く。
燃料税引き上げを機に昨年11月半ばに始まって以来、毎週土曜日に開催されて本日で23回を数える。
金曜日の夕方に大使館が注意喚起のメールをくれるので、それをチェックして気を引き締めている。
ジレジョーヌについて少し調べた方ならご存知かと思うが、ジレジョーヌのデモ隊と暴徒は、本来別の集団だ。
問題となっている暴徒は、デモのどさくさに紛れた壊し屋カッサー(les casseurs)か、Wikipediaでは「戦闘的無政府主義者の一団」などとそれっぽく呼ばれているブラック・ブロック(Black Block)である。
カッサーはただ、欲求不満を爆発させたいだけ。
ブラック・ブロックは暴力でのみ主張を通さんとする、リーダーもメンバーもないただの寄せ集めというか戦術で、昔からいろんなデモに首を突っ込んでいる。風体は黒づくめで、黄色いベストは着ていない。
今回は政治的理由から、ジレジョーヌのイメージダウンを狙う「その筋」に雇われたプロ集団が潜む、との憶測も飛び交う。
こうした輩に襲撃されているパリの惨状ばかり報道されるが、大半のジレジョーヌは地方を中心に、現政権のあり方に対して穏やかに抗議行動している。
もっともデモには大勢参加しているので、ジレジョーヌがみな清廉潔白というわけでもなく、愚かにも一部の幹部がパリで共同戦線を張ったなどという話もあるが、その目的や思想、手段など本来はまったくの別物なのだ。
大使館のメールによれば、本日のデモでブラック・ブロックが「ULTIMATUM2(最後通牒)と銘打って参加者を募っているとの情報もありますので、十分注意してください。」とあり恐ろしい。
おいおい、集まるんじゃないよー。
これ以上美しいパリを破壊したり、ジレジョーヌ本来の活動を邪魔したりするのは断じて許しがたい。
ジレジョーヌは車道での安全服
ジレジョーヌ(黄色いベスト)は元は政治的な意味を持つアイテムでもなんでもなく、単なる安全服だ。
フランスでは自動車にはかならず積んでおくべきもので、エンストなどで一時的に車道に降り立つ際は着用が義務付けられており、道路工事に従事する人々などは日常的に羽織っている。
ジレジョーヌとヘルメットをONした粋なコーデの自転車乗り(ヘルメットとスカートの色がリンクしていたりする)も、颯爽と車道を走り抜けていく。
とある冬の夕暮れに出会った、ミニジレジョーヌ軍団(たぶん遠足帰りの園児たち)を描いた。
陣頭に立つ先生と、殿(しんがり)を務める先生に導かれながら、トコトコ前進している一行はあまりに愛らしかった!
人種がさまざまなのも、さながらフランスの縮図である。
おそらくは迷子が出ないよう、大勢の子どもを管理する効果的な手法として一本のロープにつかまらせていたのだろうが…一同お行儀よく行進している様子からは、目が離せなかった。
歩き疲れてしまったのか、先生に抱っこされている子もツボw
この子たちが着ているのは、言わずもがな安全服としてのジレジョーヌである。
小さいので目立つように、モコモコ暖かそうなちっちゃなコートの上にユニフォームよろしくおそろいのベストを着用しているわけだ。
ジレジョーヌはフランスでは誰もが持つ安全服であり、デモに紛れて狼藉を働いている輩は本来ジレジョーヌとは別物で、ブラック・ブロック(とカッサー)うざいよー。というお話でした。
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